長崎を拠点に「地方を開国せよ」という熱いミッションを掲げ、Web制作や民泊事業を展開するEnagic株式会社。 地方企業が直面する「採用の壁」を、給与などの条件ではなく、思わず心が動く「理念への共感」で突破し、わずか3か月で600名近い応募を集めました。

今回は代表の大友さんに、Lastoryの採用支援を通じて、どのようにして「自社にフィットする仲間が集まる仕組み」を作ったのかをインタビュー。地方だからこそ勝てる採用戦略や、志を共にするパートナーを増やすためのヒントをたっぷり伺いました。

今回の採用事例のポイント

抱えていた課題
  • 立地や条件面だけでは、採用競争に勝ちにくい状況だった
  • Web制作事業の特性上、正社員だけではリソースが不足していた
  • 理念を採用向けに明確に言語化できていなかった
導入の経緯
  • 正社員採用と同時に、業務委託・外注人材を含めたタレントプールを形成したいと考えた
  • 採用広報・理念設計・Wantedly運用を含めた一貫した採用支援を検討
実際の効果
  • 3か月で正社員2名、固定業務委託4名を採用
  • Wantedly経由で10数名の外部パートナーと接点を獲得
  • 応募数は約600名に達し、採用母集団を安定的に形成
  • 採用と同時に「一緒に仕事ができる人材のプール」が構築できた

Enagic株式会社
代表 大友 拓海

野村證券やhacomonoで営業・マーケ領域のトップ実績(商談化率40%超等)を築き、2024年にEnagic(株)を創業。「地方を開国せよ」を掲げ、Webとマーケの力で地域資源を価値化し、稼ぐ地方企業を増やす挑戦をしている。

Q. 採用を始めようと思った当時、Enagicではどのような状況だったのでしょうか?

大友さん
弊社は2期目の会社で、長崎を拠点にWeb制作(ホームページ制作)と、民泊の直営・開業支援を行っています。
Web制作の事業構造上、正社員だけで制作をすべて捌くのは難しく、デザイナーさんやプログラマーさん、コーダーさんなどに一部外注するケースがとても多い状況でした。

そのため、正社員を採用していきたいという考えはもちろんありましたが、それと同時に、業務委託や外注の方とも継続的につながっていく必要があると感じていました。

Q. 採用支援を導入してから、どんな変化がありましたか?

大友さん
一番大きな変化は、3ヶ月で正社員2名と、固定でお願いしている業務委託メンバー4名を採用できたことですね。それに加えて、Wantedlyをきっかけに10数名のデザイナーさんやコーダーさんとも「一緒に仕事をしたい」という接点が持てました。

応募数自体も、3ヶ月で約600名ほどいただいています。これによって、正社員とは別に、いつでも外注できる「人材のプール」が構築できたことは本当に助かっていますね。

才野
まさに「採用+タレントプール」が同時に作れた事例ですよね。

大友さん
そうですね。結果として、今は「案件をいくらでも捌ける状態」になっているという感覚があります。 また、Wantedlyが単なる求人媒体ではなく、「会社の資産」になったのも大きな変化です。WantedlyはSEOも強く、「Enagic株式会社」で検索すると自社サイトのすぐ下に出てくるんですよね。求職者さんだけでなく、長崎の行政の方などもそこを見て「こういう雰囲気の会社なんだ」と理解してくれる。採用だけでなく、ブランディングにも繋がっている実感があります。

Q. 応募が想定以上に集まった中で、採用体制はどのように変えていきましたか?

大友さん
結局、3か月で約600人もの応募をいただいたので、正直、会社としてさばききれないという状況がありました。そこで、カジュアル面談の前に「メッセージ選考」でフィルタリングしていくプロセスを導入していきました。

才野
その段階で、カジュアル面談の担当の方を別途設定されましたよね。大友さんの思いや考え方を、その担当の方へかなり入念にインプットされていたのが印象的でした。

大友さん
はい。実際に週次でがっつり定例をやっていましたし、応募が多かったこともあって、フィルタリングの段階でメッセージ上で最初に質問を投げていたんです。例えば「弊社のビジョンに関して、やりたいことや成し遂げたい未来はありますか?」や「お仕事をする時に意識していることはありますか?」といった内容です。

その返答内容はもちろん、テキストベースでのコミュニケーションの“湿度”というか、クオリティもしっかり見させていただきました。そこで「この人とは何かやってみたいな」と思える方と面談をする形にしたことで、私自身の思いを共有した担当者から、会うべき人がちゃんと上がってくる構造が作れたかなと思います。

才野
「理念を確認するプロセス」を、オペレーションの中にしっかり組み込まれたのが成功の秘訣でしたね。

Q. 地方でも、なぜこれだけ応募が集まったと思いますか?

才野
地方という立地も含めて考えたときに、今回これだけ応募が集まった背景には、何があったと感じていますか?

大友さん
やっぱり一番大きかったのは、「理念」だと思っています。条件とか待遇だけで戦おうとすると、地方ってどうしても厳しいんですよね。
その中で、「地方を開国せよ」という言葉を掲げたことで、「この会社は何をやりたいのか」「どこを目指しているのか」が一瞬で伝わるようになったと思います。実際に、誰もが知るような大手企業から、弊社のようなベンチャーに来てくれた方もいます。

正直、絶対に大手の方が待遇面はいいはずなんですよ。それなのに「地方を開国せよというワードがすごくハマりました」と言ってうちを選んでくれる。 結局、最初のきっかけって、やっぱり「何にピンとくるか」だと思うんですよね。

才野
条件ではなく、価値観や考え方に反応してくれた、という感覚ですね。特に今のZ世代を中心とした若い世代は、給与などの条件以上に「その会社が何のために存在しているのか」というパーパスを重視する傾向が強まっています。

大友さん
まさにそうですね。僕たちの想いが、彼らにとって「ピンとくる言葉」としてちゃんと届いたからこそ、これだけの反響に繋がったんだなと感じています。

Q. 「地方を開国せよ」という言葉は、どのように考えたのでしょうか?

大友さん
もともと「地方の資源をしっかり輝かせて、稼げるような仕組みにしていきたい」という思いがずっとありました。そのうえで、一番意識したのは「キャッチーで響くかどうか」です。

具体的には、マーケティングの視点からキーワードを洗い出していきました。「地方」というワードに対して、「開拓」「成長」「情熱」「革新的な」といった言葉を出し、それらをどう見せるのがいいか考えたんです。そこに、私の個人的な趣味である「歴史」のエッセンスを加えました。

才野
幕末の志士たちが活躍した長崎という土地の文脈ですね。

大友さん
そうです。坂本龍馬が活躍した長崎という地から、また新しい変化を起こしていきたいという思いを込めて、「開国」というワードに落とし込みました。

この言葉は、一つのフィルタリングにもなっていると感じます。「地方を開国せよ」という言葉に対して、「いや、そんなわけないじゃん」「都心のほうがいいじゃん」と思う人もいるでしょうが、それは良し悪しではなく思想の問題なので、「合う・合わない」がすぐわかるんですよね。

Q. 自社でも運用できる中で、あえて採用支援を導入するメリットは何でしょうか?

大友さん
やっぱり「客観的な問いを投げてもらう」ことの価値ですね。自分たちだけで発信を考えると、どうしても視点が内側に向いてしまいます。外部の方にヒアリングしてもらうことで、自分たちでは当たり前だと思っていたことが実は魅力だったと気づかされたり、逆に伝えるべき課題が明確になりました。

実際、インタビューの中で「最も挑戦だったハードシングス(苦労したこと)」を聞かれた際、自分でも当時のリアルな想いを正直にお伝えすることができました。そうした熱量のある背景を引き出し、読み手へ届く「ストーリー」に整理してもらえるのは、外部の視点が入ったからこそのメリットだと思います。

才野
中の方々が当たり前だと思っていることの中にこそ、実は求職者が惹かれる宝物があったりします。そこを客観的な視点で「候補者に刺さる形」に構成させていただきました。

Q. Lastoryに依頼してよかったと感じている点を教えてください

大友さん
一言でいえば、「当たり前のことを、圧倒的なクオリティでやりきる型」を作ってもらえたことですね。Wantedlyの運用自体は、社内に担当がいれば自社でもできるかもしれません。ただ、その細かいディテールの部分で、結果は全然変わってくるなと感じました。

コピーひとつ取っても、「『地方を開国せよ。』の最後に句点をつけるのがいいんだっけ?」といった細部へのこだわりや、画像をブランドに合わせるトンマナの統一。さらに、記事を出すタイミングや取材の段取りなど、一連の流れをプロとして設計してもらえたのは大きかったです。

才野
まさに「どの井戸に釣り竿を垂らしたら魚が釣れるか」を知っているかどうかで、差が出る部分ですよね。

大友さん
そうですね。実際に、私のインタビュー記事から募集ページへ遷移して応募してくれた方もいて、設計された「きれいな流れ」の重要性を実感しました。 こうした「型」を自社だけで模索して時間を浪費するのは逆にもったいないので、最初にプロと一緒に土台をしっかり作り込めたことは、本当に良かったと感じています。

Q. 最後に、地方で採用に悩む企業へメッセージをお願いします。

大友さん
「地方だから人が来ない」と諦める前に、当たり前のことをやりきれているか。ホームページを整え、写真をこだわり、想いを言語化できているか。 2期目の、最初は自分一人しかいなかった弊社でもこれだけの成果が出せました。歴史やアセットがある地方企業さんこそ、そこを正しく輝かせれば「輝かせ放題」だと思います。まずは本気でコミットし、プロの力を借りてでも「型」を作ることをおすすめします。

才野
本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。